magurit’s blog

はてなダイアリーからの移転です!

『The CD Club 6月号』より・・・

 4月の『私のマトカ』以来,フィンランドに関する情報・記事が
 向こうからやってくる。まさに”棚を吊ってボタモチを待つ”だ。

 フィンランドへのオマージュ     
  北の国が生んだ作曲家たちへの感懐    舘野 泉(ピアニスト)
 曲名に樹の名前
  高校生の頃であったか,大阪の書店から送られてきた輸入楽譜の案内,
 それは戦後の混乱期から日本がようやく脱しかけてきた時であり,粗悪
 な紙にガリ版刷りという代物であったが,その中に,樹の名前を曲名に
 した音楽があることに興味をもった。それは後に私が「樹の組曲」と命
 名した作品で,有名な「樅の木」も含むのだが,樹の名前をつけるなん
 て,随分変わっていると思ったものだ。シベリウスの作品だった。
              (中略)
 パルムグレンとメリカント
  フィンランドの作曲家セリム・パルムグレンといっても,現在では知
 らない方が多いのではないか。1878年に生まれ,(中略)生前「北欧の
 ショパン」ともいわれ,ピアノ曲の分野に優れた業績を遺した。代表作
 である「河」と名づけられたピアノ協奏曲第2番は,生地ポリを流れる
 コケマキ川が支流を集めて次第に大きくなり,大河となって海に流れ込
 むまでの変容を描いたもの。いわば,スメタナの「モルダウ」と同じ系
 列の作品ではあるが,光と影の饗宴ともいえる流麗なピアノ書法は見事
 である。(中略)1957年秋の芸術祭で二夜連続して演奏をすることが出
 来た。指揮は,これも学生であった山本直純さん。後に「大きいことは
 いいことだ」のテレビ・コマーシャルで知られた直純さんは,その頃は
 んぺんのように青白く痩せて,眠狂四郎のような凄みがあり,天才とは
 こういうものだと痛く感じ入った。(中略)ピアノ協奏曲第4番は「4
 月」と命名され,きたるべき季節,春の予感に満ちて美しい。(中略)
  その点,メリカントこそはまさにフィンランドの大衆的人気を独り占
 めにした作曲家。シベリウスは知らなくとも,メリカントの歌曲なら誰
 でもが知っている。その音楽はひたむきに直情的であり,ひたひたと心
 に訴えてくるのだ。(後略)

 ソニー・ミュージックダイレクトの「The CD Club」は,毎月の頒布会
 である。この会のお陰でカリンニコフやムスタキや文化講演などを
 聴く機会を得ることができた*1。いい評判を聴く事の少ない指揮者の演奏も,
 聴いてみると,案外自分には聴きやすかったりもした。
 ”束縛によって得られる自由”とまでは言わないが*2・・・・。
 アマゾンのjp,com,UKで調べたが,
 パルムグレンのピアノ協奏曲はどれも売り切れで,新譜としては,現在発売されて
 いないといってもいいような状態だ。舘野泉氏の小品集でさえ,
 イメージが無いし,売り切れ表示。聴いてみたいなぁ。
 『かもめ食堂』のヒットに期待するかな。

*1:欲しいCDが無ければ,毎月買わなければならないという契約は無いので助かる

*2:当然代価を支払うし,聴いてからの返品はキズ物で無い限り出来ないので