連れ合いと行けたらと,新聞の懸賞に応募しておいたら
当たったのだが,仕事の都合で阿波に帰っている。
で,一人寂しく(苦笑)フェニックスホールへ。
ここは,3回目*1。
19時からのコンサートは,終わり辺りに垂れ幕が上がり,
”夜の新御堂”が大きな窓から顔を出す。
プログラムは
1 メンデルスゾーン プレリュードとフーガ ホ短調 op.35-1
2 シューマン アラベスク ハ長調 op.18
3 リスト ピアノ・ソナタ ロ短調
4 リスト 泉のほとりで 「巡礼の年 第1年 スイス」より
5 ショパン 子守歌 変ニ長調 op.57
6 ショパン 舟歌 嬰ヘ長調 op.60
7 リスト ヴェネツィアとナポリ 「巡礼の年 第2年 補遺」
1.ゴンドラを漕ぐ女
2.カンツォーネ
3.タランテッラ
アンコール
ドビュッシー 月の光 「ベルガマスク組曲」より
小さな室内楽用のホールだが,2階席もある。迷わず,2階席のピアニストが
正面に見える席へ。反対側やピアノを横から見える席が人気の様子。
「1」は,バッハへのオマージュ的作品。バッハらしい,音の並びを愉しむ曲かと
想像していたが,いやいや,驚いた。プレリュードが,情緒的かつ情熱的なメロディ。
メンデルスゾーンというよりも,ラフマニノフかショパンかという感じ。が,一転,
フーガに入ると,”おおっ,まさにバッハ・・・”。滑らかに上から塗り込めるかの
ごとく,音のしないルービック・キューブの様に旋律が転調を繰り返す。これは,
掘り出し物。
「2」は,いつ聴いても知らないうちに微睡んでしまう曲。やはり今宵も・・・。
シューマンの曲で,じっくり愉しめるのは「ピアノ協奏曲」ぐらいか。「謝肉祭」も
交響曲「春」「ライン」もことごとく子守歌に・・・。
ふと目が醒めた時は「3」の途中だった。リストの曲は,あまり聴いた事がない。
聴きたいのだが,なぜか縁が無い。「愛の夢」「超絶技巧」等ぐらいか。ソナタから
感じたのは,技巧もさることながら,(「7」でも感じたが)曲調の変化が激しい事。
絵に例えるなら,ダリの様な「奇抜さ?・複雑さ」という処か。
後半のプログラムは,いつもじっくり聴きたい*2と
思っている「巡礼の年」*3。
「4」も「7」もピアニストの技巧を表現する壮絶な曲だが,メロディは聴きやすい。
「巡礼の年」だけを順番に聴きたいと思った。「6」は馴染みの曲。
「5」が,今夜二つ目のサプライズだった。
左手のユニゾンが実に心地よく,ショパンらしい独特のメロディが感じられない。
まるでサティの様な・・・。ゆったりしたリズム。これは,記憶しておきたい。
アンコールは,ドビュッシーの「月の光」。演奏が始まると同時に,大窓のシェードが
静かにゆっくりと上がり,夜景がホールに入ってくる。ピアニストも窓からの明かりを
見つめながら情感たっぷりに奏でてくれた。