長い管の中へ,水素と酸素とを適当な割合に混合したものを
入れておく。そうして,その管の一端に近いところで,小さな
電気の火花をガスの中で飛ばせる。すると,その火花のところ
で始まった燃焼が,次へ次へと伝播して行く。伝播の速度が急
激に増加し,ついにいわゆる爆発の波となって,驚くべき速度
で進行して行く。これはよく知られた事である。
(中略)
流言飛語の伝播の状況には,前記の燃焼の伝播の状況と,形
式の上から見ていくぶんか類似した点がある。
最初の火花に相当する流言の「源」がなければ,流言飛語は
成立しない事はもちろんであるが,もしもそれを次へ次へと受
け次ぎ取り次ぐべき媒質が存在しなければ「伝播」は起こらな
い。従っていわゆる流言が流言として成立し得ないで,その場
限りに立ち消えになってしまう事も明白である。
と,(私も含めて)よくわかっているつもりの人々ばかりだと思うのですが・・・。
科学的常識というのは,何も天王星の距離を暗記していたり,
ビタミンのいろいろな種類を心得ていたりするだけではないだ
ろうと思う。もう少し手近なところに生きて働くべき,判断の
標準になるべきものでなければなるまいと思う。
(後略)
(「流言飛語」『知恵と工夫の物語』板倉聖宣・村上道子編・仮説社)
別に,「”教育日本一”には理科が必要!」言いたいのではありません。
程度の高い内容*1の教育が必要だと思うのです。