1964年から何も変わらず,愚だけが脈々と受け継がれ続けている。
38才の首長とて同じです。
米国はサリドマイド奇形渦をまぬがれることができました。それは
薬品の許可の衝に当たる政府の責任者の一女医が,サリドマイドの安
全性に学問的疑問があり,決して証明されていないことをはっきりと
り上げて,それが証明されるまで米国で許可は与えないことにしたか
らであるといわれています。こうして,米国の多数の生まれて来る子
どもたちが奇形渦から守られたのです。
この態度は黄変米事件,ビキニ死の灰事件などで日本政府や厚生省
のとった態度と極端な対照を示しています。これは日本がいまだに大
日本帝国時代の国民の健康や安全についての考え方から脱却していな
いことを端的に示すものです。政府はお上のものであって,
国民一人々々の生活を守るためのものではなく,
逆に国民はお上を守り,
お上のしりぬぐいのためにギセイになるミタテにすぎない
という観念が顔をのぞかしているのです。
黄変米事件などでは,はしなくも明らかになった日本の栄養学の考
え方は,戦時中までの,国民はどの程度まで粗食さしても生きていけ
るか,どの程度まで酷使しても死なないかというような考え方につな
がるのです。真の栄養学なら,いかにして国民の健康を増進して一流
国の水準におくれないようにできるかが問題なはずなのですが。
(中略)日本の政治家は安全性が問題になる場合,
科学的検討に対抗して必ず,
科学的にいえば全くナンセンスのスタンドプレーをやって
国民をごまかそうとするのです。
黄変米事件のとき当時の厚生大臣は昼食に黄変米の
カレーライスを食べる儀式をやって,それで,科学的検討に
対抗しようとしました。黄変米の危険性とはそんなことで
明らかになるものではないのです。