- 作者: 鈴木忠
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/08/04
- メディア: 単行本
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「これから出る本」『ダヴィンチ』でも,気になっていたのですが,
doubletさんが紹介されるぐらいだから*1と,購入。
やはり,面白い読み物*2でした。
新たな仕事を始めるときに研究者としてすべきことのひとつに,文献探しがある。
ところが,なにしろ日本語で読めるクマムシの一般書はまったくない。・・・・
・・・英語圏でも一般書として読めるクマムシの図書はほとんどない状態だったよう
だが,幸いなことに,・・・・一冊だけ存在することを知った。さっそくそれを入手
して,年度末で忙しい日本の大学教員としての日常の中で,久しぶりに嬉しい勉強の
毎日が始まったのだ。
その後の日々は,おもしろいことの連続だった。研究者にとって,おもしろいこと
がなによりの原動力である。コケのすき間の世界をのぞいてみると,自分にとって新
しいことを毎日のように発見できた。そして,文献探しをするうちに,どんどん古い
世界にもぐっていく感じがした。つまり新しい文献が乏しく,受け売りでない情報を
求めていくと,どんどん昔の文献までたどらなければならなかったわけである。
(鈴木忠『クマムシ?!』「あとがき」109頁)
ここに全てが集約されている様に思いました。
専門的な話は,”わかることも・わからないことも”あって当然で読むわけですが,
「研究者にとって,おもしろいことがなによりの原動力である。」という,イキイ
キ感が読者をも,その研究の場に同衾させてくれるわけです。
さらに,このテーマが著者にとっては幸運なのは,
・「なにしろ日本語で読めるクマムシの一般書はまったくない」
・「英語圏でも一般書として読めるクマムシの図書はほとんどない状態」
な事です。
だって,先行研究者がいないわけですから,調べれば調べるだけ,世界的権威に
なっていくわけです。いかに,”人の研究していないテーマを見つけることが難し
いか”,”見つかれば栄光が待っている”かがわかります。
さらに,一般人からすれば”新しい事を発見するには新しい研究・文献・施設・
道具が必要なのでは?”という見解を翻すように*3
「新しい文献が乏しく,受け売りでない情報を求めていくと,どんどん昔の文献
までたどらなければならなかった」と語っておられます。
得体の知れない”クマムシ”について,「あーでもない,こーでもない,ひょ
っとして・・・?」と予想して,文献を探す。それも,古い文献を。そこに答え
がある。なんてロマンに満ちた世界でしょう,研究って。
別に,科学=自然科学にこだわる必要はありません。人文科学,社会科学と,
皆”科学”という言葉が付くではありませんか!
学問の秋!何か研究してみたくなりませんか?
「でもねぇ,調べて見たいことはあるけれど,どうやって研究を進めたらいいのか・・」
そんな時は,この本がオススメです!
- 作者: 板倉聖宣,宮地祐司,塚本浩司
- 出版社/メーカー: 仮説社
- 発売日: 2001/08
- メディア: 単行本
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「文献の探し方」「図書館の使い方」等を導いてくれます。
閑話休題。
最近の”理科離れ””科学離れ”の危機感を煽る姿勢に,危機を感じながらも,
岩波科学ライブラリーの”科学啓蒙書”としての充実ぶりに関心します。
意識して,そういう本を作っている様な雰囲気は感じられないので,
愉しんで,研究に没頭している”変な人(悪い意味でなく,イイ意味で)”を
選んで,好きに書いてもらっているからかなと意地悪く分析しております。
私のお薦めは,
- 作者: 飯島澄男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1999/01/22
- メディア: 単行本
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