仕事納め
「テレビの父」と言われる高柳健次郎が,ブラウン管を用いて「イ」の字を電送・受像する
実験に成功したのは,80年前の年の瀬のことだった。
高柳は戦後,日本で初めてテレビ受像機を開発した日本ビクターに入社し,カラーテレビの
開発などに尽力。「研究は世のため,人の幸せのため」の信念で,創意・自主性を尊重し,後
進の研究者を指導した。
その薫陶を受けた後の副社長,高野鎮雄は76年に家庭用VHSビデオの開発に成功した。ソニー
の「ベータ」陣営との戦いに勝利したのは有名だ。
優れた技術者集団を擁し,技術力に定評がある名門企業も経営不振に陥り,親会社の松下電器
産業が株式の売却を検討している。その原因にデジタル家電への対応の遅れがある。
音響機器はデジタルAVが幅を利かせ,テレビはブラウン管から液晶プラズマといった薄型テレ
ビの時代だ。
シャープは,液晶テレビ用パネル製造の亀山第2工場(三重県)の生産能力を2ヶ月前倒しし
て倍増する。「勝ち組」と「負け組」の二極化ははっきりしてきた。
景気拡大局面は戦後最長の「いざなぎ景気」を抜いたが,すべての企業が好調ではない。ビク
ターのように苦境にある企業は少なくないだろう。
きょうは「仕事納め」。明日から休みに入る企業も多い。課題は残っただろうが,せめてこの
期間は仕事を忘れ,家族や自らの生き方について考える時間を持ちたい。(斉藤 治)
(2006.12.28・木曜 読売朝より 引用)
- 出版社/メーカー: JVCエンタテインメント
- 発売日: 2002/12/20
- メディア: DVD
- クリック: 9回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
高い先見性を持った技術者集団をもっときちんと評価してあげて欲しいなぁ。
「仕事納め」と言っても,これから,家事や掃除など休む暇もない人もいる。
サービス業には,年末年始は無いのに・・・。
「正月は哲学の時」,「大風呂敷を拡げても許される時」と言っていた先輩を思い出す。