magurit’s blog

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『うごく浮世絵』ふたたび!

 

うごく浮世絵!? (びじゅつのゆうえんち)

うごく浮世絵!? (びじゅつのゆうえんち)

  昨年,この絵本を見た時の驚きは,今でも忘れられない*1

  今,また,この本を紹介するのは,
  某シ○ープの液晶テレビ,「ア○オス」のCFで,
  「・・・世界で初めて時間を止めて見せたのは,北斎の筆でした・・・」
  (こんな感じのセリフを,某女優が語る)
  画面は,富士をバックに波が盛り上がり,そしてCG合成で浮世絵化され,
  静止する。
  「まったく,何を言ってるのかなぁ。
   もうちょっと,お勉強して欲しい。

   たしかに,北斎は「自然を止めたかのように」見せているかも知れない。
   でも,本当に,北斎は,あの光景を目に留めたのだろうか?
   富士と波という組み合わせから,想像を懲らしただけじゃないの?
   (決して,北斎の業績をけなしたいのではないので,誤解のないように。
    「富士と波」というセットからあの情景を思い浮かべ,絵にした創造力は
    確かに素晴らしい。でもね・・・)
   
   CFのセリフの発想は,ヨーロッパの古典物理の世界。
   ガリレオを中心とする古典物理の凄いところは,
   動いている物の一瞬を,輪切りにして,止めたかのようにして,
   変差(変化の差)を考えたところに創造性がある*2
   
   それよりも,よぐちたかお氏の『うごく浮世絵!?』は,
   北斎写楽がイメージの中で固定した瞬間に,
   地球の息吹を”緻密な脳力”で吹き込み再起動してくれる。
   こういう創造性こそが,日本の頭脳資源なのに・・・。   

   液晶の使い道を”薄型モニタ”から飛び出せない処に,
   ”よれよれの嘘つきライオン”とその子分が,
   日本の創造性の衰退を加速させていく予感がする。

*1:その時の感動はhttp://d.hatena.ne.jp/magurit/20051105#1131124574

*2:そもそも,北斎は古典物理を勉強してるの?