- 作者: よぐちたかお,Arthur Binard
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2005/01/20
- メディア: ハードカバー
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今,また,この本を紹介するのは,
某シ○ープの液晶テレビ,「ア○オス」のCFで,
「・・・世界で初めて時間を止めて見せたのは,北斎の筆でした・・・」
(こんな感じのセリフを,某女優が語る)
画面は,富士をバックに波が盛り上がり,そしてCG合成で浮世絵化され,
静止する。
「まったく,何を言ってるのかなぁ。
もうちょっと,お勉強して欲しい。
たしかに,北斎は「自然を止めたかのように」見せているかも知れない。
でも,本当に,北斎は,あの光景を目に留めたのだろうか?
富士と波という組み合わせから,想像を懲らしただけじゃないの?
(決して,北斎の業績をけなしたいのではないので,誤解のないように。
「富士と波」というセットからあの情景を思い浮かべ,絵にした創造力は
確かに素晴らしい。でもね・・・)
CFのセリフの発想は,ヨーロッパの古典物理の世界。
ガリレオを中心とする古典物理の凄いところは,
動いている物の一瞬を,輪切りにして,止めたかのようにして,
変差(変化の差)を考えたところに創造性がある*2。
それよりも,よぐちたかお氏の『うごく浮世絵!?』は,
北斎や写楽がイメージの中で固定した瞬間に,
地球の息吹を”緻密な脳力”で吹き込み再起動してくれる。
こういう創造性こそが,日本の頭脳資源なのに・・・。
液晶の使い道を”薄型モニタ”から飛び出せない処に,
”よれよれの嘘つきライオン”とその子分が,
日本の創造性の衰退を加速させていく予感がする。