magurit’s blog

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「現場から」

  「くせ」そっくり教授ロボ
  
  (2006.12.18・月曜 読売夕刊 引用)

  京都府精華町のATRロボティクス研究所,客員室長の石黒浩大阪大学教授の話。
 自身に似せて,精巧に作られたロボット「ジェミノイド」は顔の毛穴やほくろまで,
 柔らかいシリコンゴムで忠実に再現されているそうだ。なんと3000万円の費用をかけ,
 今年7月に完成。
  ところで,この研究所は単なる機械ロボットの研究をしているのではない。
 目的は,人間の「存在感」や「本人らしさ」だという。

 「この研究を進めて,形や機械で置き換えることのできないものが何かわかったとき,
 それこそがきっと『人間の本質』なのでしょう」
 ここで繰り広げられているのは,ロボットではなく,人間の研究なのだ。

  学生にロボットの顔をいじり回すように依頼したら,嫌がったとか。

  「先生にそんなことできませんよ」。目の前にいるのはただのロボット。
 学生たちは,そのロボットに石黒さんの存在を感じているということだ。

  石黒さんは,来年から,このロボットで子供や飼い犬との間で,親子団欒が
 成り立つか実験するそうだ。
  この実験計画を読んで,映画「T2」で,シュワちゃん演じるT-800アンド
 ロイドが溶鉱炉に自ら沈む時,コナーズ少年が涙を流すシーンを思いだした。

  これからの研究では,「男らしさ」「女らしさ」といったジェンダー(性)の
 領域,自我や心と体の問題などにまで踏み込むことも考えている。

  人間にとって,心の領域を機械や数字で云々されるのは,一番抵抗あるはず
 なのに(だから?)ロボットの動きに50種類以上のクセなどを盛り込んで,
 目に見ることのできない”らしさ”を計測するという発想は面白い。

  取材を終えて
  教授ロボットとごく自然に会話する学生たちを見て,人を動かす威厳やカリ
 スマ性などは,案外とっても薄っぺらな操作しやすいものかもしれないと思っ
 た。
  ロボットの研究は人間を知ることでもある。人が「カリスマ占い師」と呼ば
 れる有名人の言動に左右されやすい理由や,日本人が「小泉ブーム」や「韓流
 ブーム」といった流行に弱い理由が,この研究から明らかになるかもしれない。
   (長谷部耕二)(この項目のソースは,2006.12.18・月曜 読売夕刊より引用)

  面白い着眼点の研究。だが,しかし,「小泉ブーム」や流行に弱い理由が
 明らかになる見込みが高まったら,困るのは誰だろう・・・?そう考えると,
 とても怖いなぁ。石黒教授の研究が抹殺されないように,ここに記録してく。