06年,ドイツ・ワールドカップで,予選リーグで敗退した日本の原因を
50人を越える関係者へインタビューしまとめられた労作である。
”スポーツ・ノンフィクション好き”には,オススメしたい。
”海外組”と”国内組”,”監督の思惑”や”戦術”に至るまで,
国内のタレント・サッカー解説者の語る話は少ない。それが,読み応えを感じさせる
要因でもあろうか。オーストラリアの監督*1の件等は,秀逸である。
私が唯一気になった点があるとするなら・・・。
「あとがき」だろうか。別に内容云々に何ら問題はないと思う。
日本の著作物での”謝意”の書き方が統一されていない*2為だから・・・。
あとがき
最初にお詫びをしなければならない。この単行本のために,50人以上の方々に取材を
させていただいた。選手の所属クラブや所属事務所,海外取材のコーディネートや通訳
という形でかかわっている方々を加えれば,100人近い皆さんの力をお借りしている。
にもかかわらず,原稿の中で使えなかったコメントがたくさんある。そちらのほうが
圧倒的に多い。多忙なスケジュールのなかで時間を割いていただいた取材対象の皆さんと,
取材をセッティングしてくださった関係者の皆さんに,まずお詫びを申し上げたい。
『敗因と』300頁「あとがき」より引用
別に,重箱の隅をつつきたいのではない事をお断りしておく。
使えなかったコメントがあった事を正直に報告し詫びるという姿勢は,素晴らしい。
ただ,編集者は,どうしてこれを”あとがき”にしたのか?
「はじめに--おことわり--」とプロローグの前に入れるべきだと判断できなかったのが,
残念でならない。
「最初にお詫びをしなけらばならない」と「最初」という言葉を使うなら*3,
やはり”プロローグ”の前であろう。そうすれば,使われなかったコメントに気づいた人が,
読む途中で傷つくことはないだろうに・・・。
外国の作家は,冒頭に”謝辞”を書く。そこには,ちょっとしたヒントから,
きっかけとなった出来事,支えてくれた家族にまで,延々と氏名や団体が続き,
謝意が表される。長ったらしい気もするが,実に潔い清々しい印象がする。
- 作者: 金子達仁,戸塚啓,木崎伸也
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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