magurit’s blog

はてなダイアリーからの移転です!

山岸涼子『白眼子』

  id:dekoponnさんの書評を
 読んで,読みたくなった。
 『ダヴィンチ』で好評連載
 中*1
 「テレプシコーラ 舞姫」を
 書いた人が,どんな話を描く
 のだろうか?と思ったのも
 一つ。

白眼子 (潮漫画文庫)

白眼子 (潮漫画文庫)

 視力と引き換えに,人を観相する能力を持った
 「白眼子」と,戦災孤児同然の状態で「白眼子」
 に引き取られた光子*2との
 不思議な繋がりを描いた作品。
  三船千鶴子の透視実験の実話があるので,
 結末に不安を感じたが,見事に裏切られた。
  詳しいアラスジは,これから読まれる方の
 為に置いておきたい(笑)。 
 一昨日の夕食時に映っていたテレビのせいか,
 白眼子は「加藤剛に,似ているなぁ」と,
 加藤剛の声と雰囲気で,読んでいました。
 光子は,宮沢りえ?かな。
 とても,いい話でした。
 私は個人的に”迷信・占い・超能力”を現代の科学*3
 して肯定しないので(話は好きですが:笑)すが,人間ドラマとして良かった。
 「テレプシコーラ」同様,内面を深く掘り下げるのが巧い作家ですね。
 併録の「雨の訪問者」は,ファンタジー要素もあってさらっと流してます。
 
天人唐草―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)

天人唐草―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)

 dekoponnさんの書評のコメンターさんが,オススメしていた『天人唐草』も
 併せて読んだ。こちらは,自選短編集で5話構成。
 「天人唐草」の岡村響子の追い込まれ方は,理解できる気がする。
  私が時として,「バカ正直な自分自身に苦しむ」のにも似て,
  いろいろ思う処がありました。
 「ハーピー」はミステリーとして,「サイコ」みたいで・・・。
 「狐女」・「籠の中の鳥」・「夏の寓話」もなるほど,という感じ。
  しかし,最高なのは,選んだ本が偶然とはいえ,「あとがき」を書いているのが
 故中島らも氏という事かもしれません。
  らもさんらしい,蘊蓄・ギャグ・コントまで披露してるので,躁鬱の”躁”の時に
 書かれたのかもしれません。9ページもの「あとがき」は文章量としても多いです。
  アマゾンで買う時は,やはり送料無料の1500円が気になるところ。
 幸か不幸か選ばれたのは,次の作品。
  
 『メタモルフォシス伝』
  清原なつのの作品に雰囲気が似ていて,青春SFとして,楽しく読めました。
 最後にこれを読んだので,(いい意味での)緊張感に縛られていた身には,
 束縛を解いてくれるようで,おもしろかったです。
  それぞれ,毛色の変わった作品を描き分ける技量は,やっぱり凄いですね。
  この人(山岸さん)の子供時代の自伝が読みたいなぁと思いました。

*1:10/6発売の最新号で,第1部終了,第2部は来春だそうです

*2:後に親戚に見つけられ,本名は道子と

*3:誰でも再現できる事