- 作者: ますむらひろし,コミックフラッパー編集部
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
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1973年に,登場人物のヒデヨシが『ガロ』に登場したのが,
最初だと,同書,「アタゴオル年代記」120-121ぺに記載されていた。
(追記:夜中に文章を打ちっ放しで終えていたが,よく考えたら,この本の
紹介になっていなかった・・・。:涙:この本は,”アタゴオルのファン”の
方も,これからファンになるやもという方にも,深い深い,”アタゴオルの森”に
ついて,「星街画廊」「アタゴオル考察*1」「鳥霧旅行社*2」等,ますむらひろしの近況と新作映画のアイデア集と
なっている。個人的には,2Dのヒデヨシの絵の方が,映画の3Dよりもうんと,
好きである。石井タツヤにヒデヨシのハチャメチャな唄を歌わせるのはアイデアだ
と思うが,主題歌は,しっとりと加藤登紀子あたりに歌ってもらいたいと思った。)
さて,私との出会いは,月刊『マンガ少年』(現在休刊)。
1981-1984年マデの間らしい。
当時,故手塚治虫氏が,ライフワーク『火の鳥』を同誌に連載して
いたのを読みたくて,購入していた。
その中で,不思議な,細目のデブ猫,ヒデヨシに魅せられた。
『マンガ少年』が休刊となる迄に,コミックサイズの
『アタゴオル物語』を読んで出会う前の空白を埋めていた。
ますむら ひろし,この人も不思議な作家だ。
宮沢賢治の童話群を,登場人物を猫に描き変えて,
幾つも読ませてくれた*3。
ヒデヨシ以外にも,愛嬌ある乱暴者のペンギンやウサギの主人公の
物語もあるが,彼のマンガを読んで,興味をそそられたのが,
化石や鉱物結晶*4。
園芸材料のバーミキュライトは,ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが,
実は”ウンモ”。
義務教育の”岩石”辺りで,登場するカコウ岩に含まれる,黒ウンモの仲間。
あのウンモを火であぶると,
夏の想い出の代表格,”花火遊び”の中では,一際地味だが,
必ずといっていい程登場する”ヘビ花火”*5のように,モコモコと伸びていく。
その動きのせいか,”蛭石(ひるいし)”と呼ばれたりもする。
ますむら氏の作品の中で,お城の城壁を蛭石で作った話がある。
敵に攻められると,火で,お城がモコモコと伸びて,堅固な要塞*6と化すというアイデア家臣の
発想だが上手くいかなかったのではなかったかな・・・(笑)。
頁の脚注に”蛭石:ウンモ”とあったので,バーミキュライトで試してみたら,
まさにモコモコ・・・(微笑)。
アタゴオルの森の喫茶店での話も忘れられない。
青色のコーヒー豆が一粒,見つかり,そのコーヒーを飲んだ,ヒデヨシとその仲間
から,銀色の花びらの様なものが吹き出て*7,壁に飾ってあった
化石(翼手竜)にその一枚が触れると,再び,生を受けて,鳥霧山に飛んでいく・・・。
一話一話に,心洗われるオチがあり,日本の”ムーミン谷*8”を想像させてくれる
構成に惹かれて,いまでも,読み続けている名作の一つ。
それが”アタゴオルの森シリーズ”。
登場人物も,豪快なヒデヨシ,ハープ(ハーモニカ)の得意な少年テンプラ,
森の王の王女,ツキミ姫。占い師のテマリ。知識人のパンツ(猫)。
バイオリン奏者の唐アゲ丸(猫)。そして,付けヒゲとメガネを掛けたインチキ
学者のスミレ博士*9。
アタゴオルのピンチには必ず登場する謎の隻眼猫ギルバリス。
どの人物,どの猫をとっても個性豊かで,
そこも”ムーミン”を思わせる由縁かもしれない。
月刊『マンガ少年』から幾つかの雑誌に移籍しながらも,
現在は『コミックフラッパー』に連載中。
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*2:作者の海外旅行でのスケッチ集。
*3:山形出身だからかな?劇場アニメ版『銀河鉄道の夜』,新書本に『イーハトーブ乱入記-僕の宮沢賢治体験記』
*4:採集行に憧れるものの,行く機会も無くインドアコレクターになってしまいました:一度,小さな黄鉄鉱が無数に入っている粘土層を採集にいったことはあるが,それも,遥か彼方の話。オパール化したアンモナイトや,透石膏:アラバスターの美しさにヒデヨシのように涎を垂らしてしまいます・・・
*5:バーミキュライトで,ヘビ花火ほどの挙動を期待しないでくださいね。どちらかというと,閉じたアコーディオンのジャバラを開く感じ・・・。
*6:はたして,ウンモが伸びた状態が堅固かどうかは横に置いておいて・・・
*7:この辺りは,”マユに唾して”下さい。原典を探せる状態でないので・・・m(_ _)m
*8:オサビシ山に対する鳥霧山, ゆったりとした流れは,たむらしげるの「ファンタスマゴリアの世界」にも似ている,と私は思う・・・
*9:もちろん,誰が見ても”ヒデヨシ,何をバカな事を始めるの?”