- 作者: 中山可穂
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/11
- メディア: 文庫
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ピアニスト響子が,過去と現在の想いをすり合わせていく。
子ども嫌いの響子が美容師の”照ちゃん”と偽装結婚をしてまで,
桐人を思う様は,”家族を持つ”とはどういうことかを考えさせてくれる。
桐人の存在は,
響子には,透子への切れない想いであり,
照るちゃんには,透子の相手への想いである。
直接的な恋愛ではなく,”桐人を守り育てる”ことで,
二人はそれぞれの恋愛を成就させることを願うのである。
テレビドラマで描かれる薄っぺらな他人家族ではなく,
迫力と危うさが同居する姿を
響子と照るちゃんとの口喧嘩に感じ取ることができる。
この作品が,『猫背の王子』『天使の骨』に続く3作目というのを
巻末の解説を読んで知って,柔軟なスタイルに驚いた*1。
解説を書いているのが冒険小説の評論家,北上次郎氏なので驚いた。
『感情小説』からの引用・指摘の巧みさも冒険小説の評を読むようで面白かった。
考えてみれば,
冒険小説と恋愛小説は,よく似ているのかもしれない。
冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
- 作者: 北上次郎
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/06/12
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4冊続いた”中山可穂参り”,一段落しそう。
しばらく,本から離れるかな?いや,いや・・・。
*1:以前,読んだ時はどうだったのだろう?