magurit’s blog

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トランスな世界

No.172

 ●投稿者:マグリット(♂)
 ●投稿日:01月25日(土)02時28分44秒

◆業務連絡

 下で取り上げた,川上弘美センセイの鞄』の放送日時が
きまりました。

 ドラマ
 センセイの鞄  WOWOW 2/16  20:00〜22:00
    (再2/21) 21:00〜23:00

 メイキング
 今日子さんと月子さん
WOWOW 2/9  21:45〜22:30

 センセイの鞄の世界 センセイ編
   WOWOW 2/12  22:44〜23:00
(再)WOWOW 2/14  20:34〜20:50
(再)WOWOW 2/15  21:42〜21:55

 センセイの鞄の世界 鞄編
   WOWOW 2/13  20:30〜20:55
(再)WOWOW 2/14  22:30〜22:35
(再)WOWOW 2/16  17:55〜18:00

監督:久世光彦 脚本:筒井ともみ
出演:大町月子(小泉今日子) 松本春綱(柄本明
豊原功補(小島孝)   中田サトル(モト冬木)
他,竹中直人樹木希林加藤治子木内みどり

 脇も渋く固めてるので,期待してしまいます。

No.173

 ●投稿者:マグリット(♂)
 ●投稿日:01月25日(土)03時00分14秒

火の鳥

 手塚治虫の『火の鳥』と出会ったのは,四半世紀前。
もちろん,一番古い連載ではなく,朝日ソノラマの『マンガ
少年』という雑誌に連載されたものが,別冊として5冊近く
発売された後の話。

 当時,真言宗系の私立男子校に通っていた私は,小中とさほ
ど勉強せずに,素質だけで試験をやりくりしていたから,この
高校に入学してからは驚くことの連続だった。

 まず,予習の徹底検査。毎日の小テストと不合格時の追試。
辞書から教科書から全て毎日持参することを固く守らされた。
ここで,試験の勉強の仕方を学んだ気がする。(だから,妹に
子どもの勉強を見てくれと言われても,自分用に特化した方法
だから出来ない。しかし,その辺りはなかなか理解してもらえ
ない)。

 そんな,ある種,機械の歯車みたいな生活をしていた頃に
優雅な自由の塊,公立高校に通っていた友人が『火の鳥』を紹
介してくれた。

 手塚作品に登場する,鼻の大きな男を,時代の狂言師にして,
永遠の命と,輪廻転生を説く,なかなかに味のある話で,ラジ
オドラマにも,実写版映画(若山富三郎が出演!)にも,カド
カワアニメにもなった。日本史の人物名を覚えるのは嫌だった
が,なんとなく,時代の背景が見えて面白く思ったものだ。

 さて,そんなある日,芥川龍之介のお子さん?の芥川也寸志
のエッセイが,新聞に紹介されていた。当時としては珍しいス
テレオが家にあり,レコードをかけては,その音楽にあわせて
「ゴッコ遊び」をしたというのである。なかでも,一番のお気
に入りが,ストラヴィンスキーの「火の鳥」をバックにした探
検隊ゴッコだったらしい。当時,NHKで,黒柳徹子と二人で,
クラッシックの啓蒙番組をしていたのをよく見ていたので,ど
んな曲か気になった(まったく何でも気になる厄介な性格だ)。

 そこで,ストラヴィンスキーの「火の鳥」を聴くことになる
のだが,あまり期待はしていなかった。
 というのも,FMで,ストラヴィンスキーの「春の祭典」を
聴いて,あまりの激しさにショックを受けていた(この頃は,
ラヴェルドビュッシーといった,印象派の柔らかい,そう
モネの「睡蓮」のような音楽ばかり聴いていた)。

 しかし,20分強の1921年版を聴いて,「これが同じ
人間の作ったものか?」と信じられなかった。それぐらい,
ストーリー性がはっきりと感じられ,美しい「子守歌」に,
もうこれを聴いて「フィナーレ」と感じないヒトはいないに
違いないというようなエンディング。

 印象派から,近現代に飛躍してしまった。不思議なことに
それまでは,気難しい不協和音の塊にしか聞こえなかった,
春の祭典」まで美しく聞こえるではないか。
 まったく,人間の耳は,いやノウミソ程,イイカゲンなも
のはない。「イイカゲンはヨイ加減」とはよく言ったものだ。
NHK-BSで,「火の鳥」を聴きながら。

 

火の鳥17巻セット (手塚治虫漫画全集)

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