某SNSで,「×◆▲大嫌い!の会」の集まりに参加してきました*1。
実に論理的に,データを駆使して彼の詭弁の皮を一枚ずつ剥がす方も
いらっしゃるので,とても勉強になり,実際に施設をみて考えたいと思ったのです。
500名を越える会ですが,見学に集まったのはε名。
千日前*2の
ビル前に集まって,簡単な自己紹介。4Fまでエレベーターで上がって入場しました。
入場料は400円です。
入場口で,無料の音声ガイドを貸してくれます。
さらにアンケート用紙やワークシートもボードと筆記具を付けて渡してくれます。
館内に入ると右に案内板があります。
左手を見ると↑です。
正面の展示室は,音声展示”ミルクホール・スタア”です。
ここでは,往年の芸人の録音を選んで聴くことができます。
私はWヤングの”シャレづくし”が好きだったので
”民謡づくし”を聴きました。
ここを出ると,”芦屋のオボッチャマ”と”お腹を叩くお姉さん”の衣装が。
すぐ傍に赤い人力車が置いてあります。
解説の方が,人力車の説明をしてくれました。
芸人さんが,これに乗って演芸場を移動したのだそうです。
普通は黒い人力車ですが,有名な桂春団治だけが,赤い派手なものを使ったそうです。
人力車に乗って正面のパネルを見ると,
当時のミナミ界隈を走ってる様なアニメ映像を見せてくれます。
落語家気分で(春団治に)声をかけるファン,集金人の取り立て・・・(笑)。
テレビの人気演芸番組を見せる部屋”居酒屋こいさん”,
その向かいには,歌舞伎や能から派生した大阪ニワカを映像再現する”からくり劇場”。
その隣には,ライブが見られる”上方亭”があります。
ちょうど,10分間の(偏光眼鏡式)3D映像で,大阪のお笑いを紹介してました。
”お笑い写真館”では,無料で大入り袋などを作って遊べます。
”演芸早わかり散歩道”は,上方演芸を明治・大正・昭和と5万点の資料から選ばれた
ものが展示してあります。
吉本会館の向かいですし,吉本興業のビルですから,吉本芸人ばかりかと
思いましたが,ちゃんと,松竹も公平に扱われています。
そりゃそうですね。大阪府立上方演芸資料館ですから
吉本資本とは,関係ないのです。
借りているビルが吉本のビルというだけです。
”ワッハ=吉本”という刷り込みは,メディアを利用してなされているようです。
釣瓶の名前がありまへんなぁ。落語家風のタレントなんかなぁ(笑)。
(年表は,2005年まででした。)
大きなジオラマが精巧で臨場感があって,再現された看板が懐かしく感じました。
中田ダイマル・ラケットの台本がありました。
ラ また 大阪の人がふえたそうや
ダ 当たり前や 年々増えても減ることはないわ
ラ 人間が増えれば それだけ 乗り物も増える感じよ
ダ このままでいけば しまいに我々の住む所 のうなるんと*3ちがうか ラ さあ 地下にもぐるか月の世界でも行かな しやぁないがな
ダ 月の世界みたいな遠いとこより近くにええとこがあるわ
ラ 近く?
ダ そうや
ラ どこや?
ダ 南極や
ラ 南極?
ダ そうや
ラ 南極はまだ観測をしてるのとちがうか
ダ ところが南極で植物をそだて漁業も出来ることがわかったんや
ラ えらい南極の事くわしいねんなぁ
ダ そらそうや。というのは僕が南極観測に言ってきたんや
ラ そんなええかげんな事言うな
ダ ほんまやがな
ラ へぇー いつ行ったんや
読んでいると,声が聞こえてくるようです。
殿堂ギャラリーでは,「上方演芸の殿堂入り」をした名人の映像が公開されています。
第12回上方演芸の殿堂入りした漫才コンビ「京唄子*4・鳳啓助」らの映像も紹介されてました。
その隣には,”演芸広場”という企画展示室。
落語の世界についての入門パネルや,紙芝居が演じられてました。
↑ わかりはりますか? ↓
この向かいには,”演芸ライブラリー”があります。
演芸に関する書籍1000冊,テレビ映像が900本,ラジオ音声は1600本,
市販DVDビデオCDも閲覧できます。ここだけなら入場料400円は不要,無料です。
テレビ映像・ラジオ音声は,大阪の各放送局*5からの提供資料です。
展示室はこのビルの4F,ワッハホール(305席)が5F,
レッスンルームが7F,事務所が6Fになります。
さて,この資料館,知事が「赤字だ,赤字だ!」と叫んで,縮小・廃止にしようとしております。
最近は,
「通天閣に移転させる。99.999%賛成のハズだ!」と吠えて,
彼の仲間にされた府民は,迷惑しております。
8/3には,運営するNPO法人の理事,各放送局のエライ人が集まって会議のようです。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20090731-OYT8T00075.htm
http://www.sponichi.co.jp/osaka/soci/200907/31/soci222678.html
http://www.daily.co.jp/gossip/2009/07/31/0002180971.shtml
http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK200907310031.html
http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/gossip/topics/news/20090731-OHO1T00171.htm
「知事の話は数字だけで,文化に関しての見解が何もない」と非難の会見が
報道されておりました。
展示資料だけを見ていても,あの通天閣では,収納しきれないでしょうし,
この内容から絞って展示すると,デパートの催しよりもうんとチンケなものにしか
ならないでしょう。さらに観光客の通り道ですから,資料が傷む頻度も上がるでしょう。
それに,昭和50年代以降の漫才ブームの資料よりも,
明治・大正・戦時中の慰問資料など,歴史的に価値のあるものが
多く展示されておりました。
”笑う”という行為は,絶望感に打ちひしがれている人間にも
「また,明日があるやないか」と希望を与える力を持っています。
歌舞伎や能の演目を昇華させた”大阪ニワカ”という演芸が
存在したことは,日本の演芸史には重要な意味があるのです。
もっと,入館者に媚びた内容かと,勝手に思い描いていましたが,
よくまとまった資料館という,感想です。
資料館にしろ博物館にしろ,直接,市民生活に影響がないと言えば
それまでかもしれません。が,文化・歴史・教育というお金で
計ることの出来ないモノを,「一円たりとも赤字はダメだ。黒字で
収益をバンバン上げろ」という対象ではないはずです。
人々の関心が高まって,入場者が増え収益が上がるのは仕方ないことです。
でも,”儲けよう”としてはならないものだと思います。
そういう存在は,図書館・警察・消防署だって同じことの様に思えます。
消防署を赤字だからと,廃止しないように,
消防署や図書館と同じ位置にある施設のハズなのです。
しかし,ワッハ上方の賃料を値切って,支出を抑えることよりも,
ワッハの委託料よりも遙かに大きな支出,
不要な公共事業をカットしないことが,
苦しめていることが明らかなのに
↓を見ると,「どうして?どこが赤字?」となるんとちがいますやろか?
NPO法人ですから,収益を出すことが目的ではなく,
公共施設として,低い料金で資料を提供し,
健全運営を目指しているわけですから,目的は達成されていますね。
当初,大阪府の施設だったわけですから,運営資金も今よりも
大きかったことは容易に想像できます。出向職員も複数いたかもしれません。
しかし,府からの出向職員は0*6とは。
あちこちのブログを見ていると,”ワッハ上方”の施設や運営状況を
調べもせずに,”上方演芸資料=吉本”という短絡な思いつきなものばかりで
参考にもなりません。
彼は買い物をしてお金を払うことを”赤字”と叫ぶ人のようです。
収入に対して,支出がオーバーしたら,赤字なんですけどねぇ。
児童文学館,臨海スケートリンク,青少年会館など,切り捨てることで,
大阪がどう良くなるのか?具体的なことは一切説明もありませんし,
実際,彼が知事に就任して,府民の生活は,何がよくなったのですか?
ニュースで,下品な発言が流れるたびに,
不愉快な気分になるばかりで,心が荒んできます。