magurit’s blog

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ふと,小学校の国語の教材を・・・・

 今朝,同僚に夏みかん(八朔)?を5〜6個お裾分けしてもらった。
 そのまま,車の中に積んでおいた。
 帰り道,ほのかに柑橘系の香りが漂う。風は吹いていたが,陽光は暖かく,
 車内はポカポカとしていた。
 ふと,小学校の国語の教科書に載っていた童話の事が,頭に浮かんだ。
 「題名なんだったかな?タクシーの運転手さんだよな,モンシロチョウが出て
 きたよな,出だしは『これはなんのにおいですか?』だったかな,
 『これはレモンのにおいですか?』だったかな,
 『いいえ,夏みかんですよ。いなかのおふくろが・・・』。
 そうそう,あまんきみこ原作だ。題名に『車』と『空』があったような・・・」
 帰宅後,気になって,googleで検索(笑)。
 「このおはなしを読んでみよう!*1」を見てみた。

「白いぼうし」 あまんきみこ ポプラ社
 タクシー運転手の松井さんのことを,どれだけの人が覚えているだろうか。
「白いぼうし」は,タクシーを運転している松井さんが出会ったことが書かれた
『車のいろは空のいろ』に収められているおはなし。シリーズの他の作品は知ら
 なくても,教科書に収録された「白いぼうし」だけは知っているという人もいる
 はず。松井さんのタクシーに乗るとただよってくるのは,夏みかんの香り。
 田舎の母親が送ってくれた夏みかんを乗せておいたのだが,お客さんも乗り合わ
 せたタクシーで,夏みかんの香りをかいで幸せになれる。そんな夏みかんのにお
 いがするタクシーを走らせていた松井さんだが,道路のそばに白いぼうしが置か
 れているのを見つける。このままでは風に飛ばされて車にひかれると考えた松井
 さんは,もっと安全な場所にと思ってぼうしを取り上げるが、ぼうしの下からモ
 ンシロチョウが逃げ出していった。
 それを見て,「しまった」と思う松井さん。子どもが捕まえたモンシロチョウが
 逃げないように,ぼうしでつかまえていたのだろうが,思わぬ親切が仇となって
 しまった。このままでは,子どもをガッカリさせてしまうなと思った松井さんが
 取った策とは,ぼうしの下にモンシロチョウの代わりに夏みかんを入れておくこ
 と。モンシロチョウが夏みかんに化けたと思って,男の子が驚く姿を想像して喜
 ぶ松井さんだが,物語はこれで終わりではない。夏みかんをおいて戻ってきた
 松井さんのタクシーに小さな女の子が乗っていたのだ。「菜の花横丁まで」と
 いう女の子を乗せて,タクシーを走らせる松井さんだが,気がつくと女の子の姿
 が消えていた。後部座席から人が消えたら怪談話だが,女の子が消えた場所の周
 りを飛び回るのは,たくさんの白いチョウ。女の子は松井さんが逃がしてあげた
 モンシロチョウの化身だったのだろうか。
 モンシロチョウを逃がすという失敗をしながらも,1個の夏みかんのおかげで,
 松井さん,チョウを捕まえた男の子,逃げ出したモンシロチョウの誰もが,幸せ
 な思いをするという構造がおもしろい。
 「よかったね。」「よかったよ。」「よかったね。」「よかったよ。」
 (このおはなしを読んでみよう!より引用。
  題名の「」,書名の『』,文中の「、」→「,」,松井さんの台詞と
  女の子の台詞「」は,magurit編集責*2

 そうそう,『車の色は空の色』だったなぁ。
 担任は,松井さんの「しまった」をやけにしつこく,分析批評させたよなぁ。
 あんな分析が,今,本を読むのに何の役に立っているのだろう?
 それよりも,蝶を捕まえた子供がぼうしを,そっと持ち上げた瞬間の驚きの
 顔を思い浮かべて「ニヤッ」としたり,女の子はモンシロチョウだったのかな?
 とか,空想してる方がうんと愉しい。
 最後の「よかったね。」「よかったよ。」「よかったね。」「よかったよ。」が
 キラキラした音と色を残して,シャボン玉が遠くへ飛んでいくような
 嬉しさだけを心に残して欲しかった*3
  「3ε年前に戻れたら,やり直したいかなぁ?」と『今夜は心だけ抱いて』の
 柊子と同じように考えてしまった。

*1:http://www.h2.dion.ne.jp/~yatte/ohanasi.html

*2:「」『』,の使用法については,板倉聖宣『増補版 模倣と創造』仮説社に基づいている

*3:車の中で思い出しながら,嫌な授業の事が浮かぶという愚かな思い出を作る教育に対して怒りを覚える