今朝の読売新聞より引用
「編集手帳」
放送局などで使う隠語に「ワラう」がある。片づけることを
指す。「そこの火鉢、ワラってくれ」とディレクターに命じら
れた新米の局員が「ハハハ」と火鉢に笑いかけた話も残る。
◆味のある隠語ではあろう。なるほど顧みて笑えるのであれば、
物事はすでに片づいた証拠である。去りゆく一年も笑いながら
片づき具合を点検できたら幸せだが、今年はさてどうだろう。
◆言葉の豊作ゆえか、不作ゆえか、は知らない。師走の恒例
「新語・流行語大賞」の最高賞である大賞に今年は過去最多、
『今でしょ!』『お・も・て・な・し』『じぇじぇじぇ』
『倍返し』の計4語が選ばれたという。
◆ドラマの一場面を回想したり、”Tokyo"の声を耳によみがえ
らせたり、どれも笑みを誘う顔ぶれに違いない。とはいえ、
トップ10には『ブラック企業』『ヘイトスピーチ』『PM2.5』
が並び、ランク外の候補語には『汚染水』が染み出す。笑うに
笑えない、片づくにはまだ時間のかかる流行語は、誰しも少々
気の重いところだろう。
◆<災難のこれですめばや年の暮>(久保田万太郎)。壁の
カレンダーもあと1枚である。