たった2頁の記述だったのですが,ちょっと気になりました。
以前,読んだ時とは違う感じを抱いたのです。
3つの質問があって,それに予想してから,グラフで検証という構成でした。
参考までにここに留めておきます。
[質問1]
世界には,200足らずの国がありますが,「ストックホルム
国際平和研究所」の推計によると,2005年度の軍事費の合計は
1兆1180億ドル(130兆円)に達したということです。それで
は,一番たくさんの軍事費を使っている国はどこでしょうか。
ア.米国 イ.中国 ウ.ロシア エ.その他
[質問2]
世界で一番たくさん軍事費を使っている国は,世界全体の軍事費
(1兆1180億ドル=130兆円)のうちでどれくらいの割合を占めて
いるでしょうか。
ア.1割(13兆円) イ.3分の1(40兆円) ウ.半分くらい(65兆円)[質問3]
日本の軍事費(防衛予算)は世界で何位くらいでしょうか。
ア.20位以下 イ.19位以内 ウ.10位以内 エ.5位以内(おまけ)日本と北朝鮮の軍事費は,どちらが多いのでしょうか。
というものです。
答えと解説の表現が見事でした。予想が決まったら,続きをどうぞ
上のグラフを見ていただければ気づかれることと思いますが,
下手な解釈より,原文を引用します。
[質問1・2]の答え
米国が世界第一位で,第二位のイギリスの10倍,世界の軍事費の
半分(5000億ドル余り)を占めています。
じつは,米国の軍事費はソ連との「冷戦」が終わってから減り続
けていて,軍需産業は困っていたそうです。しかし,1990年代後半
から増加に転じ,2001年9月11日に起きたいわゆる「同時多発テロ」
以降,軍事費は大きく伸び続けています。(2005年度は2000年度の1.5倍)
[質問3]の答え
「防衛費」以外にも軍事関連とみなされている全部が加えられて,
日本の軍事費の額は5兆円(453億ドル)で,フランスに次いで世界
第4位,アジアでは第1位です。第5位の中国とほぼ同じで,かな
りの「軍事大国」です。以前「中国の軍事が伸びてきて問題だ」と
発言する政治家がいましたが,伸びてきているといっても,それは
〈日本に追いついた〉とういレベルなのです。
日本の「防衛力」などの軍事を議論する前に,こうした基礎的な
事実をイメージすることがとても大切ではないでしょうか。日本は
民主主義の社会なのですから,この問題に限らず,みんながきちん
とした事実を知って,正しいイメージを持った上で,それぞれ判断
することが大切だと思うのです。
[おまけ]
何かと話題になる北朝鮮の軍事費はどれくらいでしょうか。
今回の記事には載っていなかったので,『世界国勢図絵』で調べて
みました。すると,50億ドル,つまり日本の軍事費の1割強となって
いました。少し前に「北朝鮮よりも日本軍事力の方が脅威だ」という
話を聞いて驚いたことがあります。しかし,軍事費を見れば,そうい
う見方があっても当然でしょう。
(『たのしい授業』2006.10月号 「グラフで見る世界220」引用)
この軍事費のグラフは,両率グラフというそうです。
数字だけが歩き回る話は恐いですし,総額が異なるのに,同じ
サイズの帯グラフで%を示されると,ついダマされてしまいます。
国連やサミットでの日本の扱われ方を非難するマスコミ報道を
日頃耳にしているので,日本が第4位というのには驚かされます。
お隣の大国,中国とも2005年当時,そうかわらない軍事費だなんて。
狡賢い管理職などは,「データでウソをつくこと」を平気でするので
気をつけなければなりません。そういう輩を相手にするには,
こういうグラフを勉強して使えることが有効かもしれません。
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