阿倍野・アポロホールに映画を観に行った。
「久々の休み」と「招待券をいただいた」のが,大きな理由。
だが,何時も最後に目頭と胸が熱くなる『ローマの休日』と
いうのが一番かも*1。
永遠の妖精・オードリーは大好きな役者だが,
グレゴリー・ペックあっての名画だと思える様な齢になってきた。
一般に,オードリーの出世作,ラブストーリーの定番と言われる
が*2,なぜか,ペックから*3にじみ出る「はかない夢」の部分が
”忘れられたり,見過ごされているのでは?”,と思うのは
うがった見方だろうか。
記憶を辿っても,テレビでしか見たことが無い。
小さなホール,会議椅子,少ない観客。
他人に紛れて,ノーカットで見ていて思うのは,
「このシーンはこんな意味なのかな?」。
それは,ラスト。
ペックが「振り返るシーン」。
単に切ないだけと思っていたが,あの”振り返り”があって,
夢と現実が綯い交ぜになった世界から現世に戻ることができる
”リセットスイッチ’だということに。
歯がゆい・辛いリセットスイッチかもしれないが,所詮は,叶わぬ夢*4。
だから,リセット・ポンで,「逃避行」を夢だけにして,思い出だけにして,
頭(心)の中にいつまでも留めることができるのだろう。
ブラッドリーとアーニャが,あのまま,ローマのアパルトマンで,スゥイートな
生活を送る空想も現代ならたやすく映像できるかもしれない。
でも,そうならなかったから,あり得ない想像もできるというものだろう。
「思いのままになる*5)=ハッピーエンド」のような作品
*6が多い今だからこそ,
「束縛によって得られる自由」から生まれる素晴らしさが必要なのではと,
哲学的な想いにかられた一日だった。
だが,しかし,あの時代は「予定調和」=「叶わぬ夢」だっだったのかも
しれない,という考え方も忘れず選択肢に入れるのは当然ではあるが・・・。