No.53
●投稿者:マグリット(♂)
●投稿日:08月16日(金)22時35分26秒◆夏の一時
電話のあった,女将の所へ出かけた。
白無垢を着るための打ち合わせを兼ねて夏の着物を着るために。女将は嬉しそうに「今日は夏の着物だから,軽いのと引きずりと,
いい紫の「ろ」を用意してるのよ」。
「3枚も着替えるのですか?」
「時間はあるでしょ?」
ということで,夏の暑い昼下がり,着物の着付けが始まった。汗を流して,オシロイを顔,うなじ,首,背中,胸,手に塗っていく。
最初は,ピンクの短い夏向きのもの。とても,着心地がいい。
次は,薄い黄色の「ろ」の引きずり
久しぶりの引きずりだが,上品な黄色がよく映えて見える。
最後は,紫の「ろ」。
これを着て1時間半近く,恍惚の表情で,足を横に投げ出して,
変身した性に浸りながら,座っていた。ヒトの「ハレ」と「ケ」。
誰にでも披露することは許されないけれど,私にとっては,ひとと
きのハレの間。
白無垢を着るまでに,花魁が待っているといわれ,フッと微笑んだ。