magurit’s blog

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トランスな世界

No.41

●投稿者:マグリット(♂)
●投稿日:05月31日(金)04時26分54秒

◆「魂を入れて・・・・・」

 某会社の会議の席での某副社長の発言。
 「・・・・全員一丸となって,改革の主旨を今一度,魂を入れて
勉強してもらいたい。どうも,みなさんの様子を見ていると,
魂が入っているとは思えない・・・・」

 この人は,社会科学系の出身者だそうです。
 個人的に非難・中傷をしたいわけではありませんが,
 「あぁ,まだこういうタイプの人が人間を動かそうとしてるわけ
かぁ」と,残念に思いました。
 さらに,その人の机の上には「科学哲学」という本が,これみよ
がしに置いてありました。

 ところで,natural phylosophy を日本語に訳すと「自然哲学」と
なります。江戸時代末期〜明治時代,西洋から入ったこの学問は,現
代ではどんな学問でしょうか。現存してるのでしょうか?
あなたはどう思いますか?

 実は,natural phylosophy は,当時「究理学」と訳されました。
そして,この学問は,現代では物理学の事を指しています。

 「哲学」という学問は,そもそも「森羅万象」(この世のあらゆる事)
を解決する学問でした。かの有名なアリストテレスの著作にも,自然科
学に関する内容がかなりの量を占めています。
 もちろん,アリストテレスは,この世の造物主でも創造主でもありま
せんから,彼なりに「森羅万象」について見解を述べているだけです。
 現在,科学者によって判明している事と正しいこともあれば,あきら
かに間違っていることもあります。

 科学の父と呼ばれるガリレオガリレイは,そのアリストテレスの考
察した,幾つかの項目に関して,「一点突破主義」で,誤りを実験によ
って正していきました。
 偉大であればあるほど,「一つでも誤りを正すこと」が,大きな意味
合いを持ってきます。そのようにして,科学は生まれました。

 話を元に戻しましょう。
 phylosophy(哲学)と physics(物理学)という単語のスペルが似て
いるのは,物理学が自然哲学から派生した歴史を考えると当たり前のこ
とになります。

 ですから,冒頭の副社長氏が「科学哲学」なる題名の意味が本当に理解
できているか,いささか不安に思いました。

 だからこそ,「・・・・魂を入れて・・・・」なる発言が,(スポ根マ
ンガ衰退の今も)出来るのかもしれません。

 揚げ足をとる訳ではありませんが,natural phylosophy 的にもの申せ
ば,「この世の物は,すべて原子でできていると,科学者は認めているの
に,原子で出来ているかどうかも確認されていない,魂なる物を入れると
いうのは,どういう行為なのか?」ということになります。

 どなたか,「魂の入れ方」をご存知の方がいらっしゃいましたら教えて
ください。