No.21
●投稿者:マグリット(♂)
●投稿日:05月04日(土)19時49分14秒◆「メグレ警視」
私は,まずまずの読書家であると,心密かにおもっている。
そんな私だが,不思議と推理小説は読まない(いや読めない)。タイトルから『メグレ警視』を推理小説と思われる人もいるかもしれないが,
ここでお断りしておく。『メグレ警視』は,推理小説でも(近頃はやりの『新
宿鮫』のような)警察小説でもない。著者のJ.シムノンがそうであったように,主人公メグレは,「人生の診察医」
と言うのが正しい。フランスの小説が全てそうであるとは思わないが,ご多分に漏れず『メグレ警
視』も心理描写の多い小説である。
その為,トリックの種明かし等,二の次で,犯人の心の奥底に動機を探ってい
く。推理小説ファンは,「メグレ物は暗いから,読んでるこっちまでジメジメし
てくる」とよく言われる。が,しかし,それこそ読書の読書たる由縁ではないだ
ろうか。人間,人生は1度きりしか送れない。それを補う,いや種々の人生を知りたい
がために小説に身を任せるのでは,ないだろうか。そういう意味で,メグレ物を読むことは,犯罪という現象を通してであるにせ
よ,人が陥りやすい暗い部分を見せてくれ,示してくれているような気がする。メグレ物を読み終えると,何故かしら,安堵とも虚しさとも異なるため息が
もれることが多い。そして,疲労感も漂う。
他人の人生を共有したことの現れか。
閑話休題。その『メグレ警視』は,何度かスクリーンやブラウン管に登場している。
スクリーンでのベストは,ジャン・ギャバンのメグレ。ブラウン管でのベス
トは,愛川欣也。1980年代,某朝日放送の金曜夜に,「東京メグレ(目暮)警視」として,
キンキンが登場した。メグレ夫人には,市原悦子(原作者のJ.シムノンが最も
原作の夫人のイメージに近いと賞賛した)。
パリ留学で,警察学を学んだ,目暮(愛川)と長官(中村敦夫),
そして2人の恋人だったリサ(佐藤友美)が日本にそれぞれ帰って来て,活躍す
るという物語だったが,第1作が,放送大賞を取るほどの出来映えであった。未だ,DVD化どころかビデオ化も再放送もままならないが,もう一度見てみ
たい,青春時代のドラマである。P.S.ちょっと思い入れが強くて・・・・。
No.22
●投稿者:マグリット(♂)
●投稿日:05月04日(土)21時38分03秒◆訂正(2)
上の文章中,「・・・メグレ警視は「人生の診察医」・・・・」を
「・・・・メグレ警視は,「人生の修理人」・・・」に読み替え
て下さい。またしても,原典にあたらずに,思い込みからの連想で書いてしまいました。
今回は,最初に気がついたと思いますが・・・・。
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