トランスな世界

No.20

●投稿者：マグリット(♂)
●投稿日：05月04日(土)19時29分53秒

◆深夜放送

　私の高校生活は，大学受験の為にあったといっても過言ではない。
わけもわからず，そういう高校を選んでしまったからだ。入学後，毎日の様に
居残り小テストが実施され，居残りするのが嫌で，深夜遅くまで暗記に努めた。
　最初の１年間は，機械の歯車のような，規則と小テストに縛られた毎日だった。
　ところが，ある夜，何げなくラジオのスィッチを入れ た私は，その世界の虜に
なってしまった。某○ＢＳラジオの「○ック・イン・ミュージック」がそれだ。
その日は水曜日で，パーソナリティは愛川欣也氏だった。番組名の「・・・ミュ
ージック」というほどに音楽はまったくかからずゲストとのトークで続いていく。

　「こんな素敵な時間があったのか・・・・。」

　私は，水曜の深夜が訪れるのを心待ちにした。
　ゲストも多彩だった。小坂一也，田宮次？郎，黒柳徹子，奈良岡朋子，永六輔，
小沢昭一，・・・・。
　年に何度か，映画声優を集めて，ラジオドラマが放送された。
　そのドラマで，ジャック・レモンを知り，シャーリー・マックレーンを知り，
名匠ビリー・ワイルダーを知り，『アパートの鍵貸します』・『あなただけ今晩
は』を知ることになる。
　
　木曜夜の野沢那智と白石冬美の同番組も聴くようになり，生活は夜型にシフト
してしまったが，大人の世界を，背伸びして，お尻をちょっと支えてもらってい
るような感覚で教えてもらった気がする。

　今の子供達に，当時の「大人への背伸び」をどう教えてあげられるのか，私に
はわからない。いや，お節介はやめておこう。カラーテレビとファミコンが産ま
れた時からある人種は，確かに新人類なのだから。

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