magurit’s blog

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トランスな世界

No.19

●投稿者:マグリット(♂)
●投稿日:05月04日(土)02時46分30秒

◆円周率

 文部科学省の検定教科書で,小学校では「円周率を3とする」という動きに
対して,非難の声がかまびすしい。
 中には「私の頃は,3.14と覚えさせられたのに,子供に楽をさせるのか」
等と,自分だけ苦労させられたのが不満のような声さえある。

 ところで,日本における円周率の普及の歴史をご存知だろうか?
 そもそも,江戸時代に日本の数学は,隆盛の時を迎えるのである。
しかし,最初は,「円周率=3.16」だった。当時の日本人は,バカだった
のだろうか?
 ある意味そうで,ある意味違うというのが本当だろう。
 江戸時代には,数学は「和算」と言われていたのだが,和算家の中には,きち
んと3.14という値を求めていた人(関 和孝)もいたのである。日本人の科
学もまんざらではない。

 しかし,馬鹿なのは,当時はばを効かせていた,国学者である。
「円は,究極の美しい形だ。だから,3.14などという数字であるはずがない。
3.16(ルート10)だ。」と言ったから大変である。それ以来,3.16の
時代が続いたのである。
 何十年か,3.16が続き,またまた和算家が,3.14を公表したのである。
ところが,またぞろ国学者が,先と同じ様な理由で,3.16を宣言してしまっ
たのである。

 「3.16と3.14。どれほどの違いがあるんだ?」と思われる方もいるこ
とだろう。確かに,実生活で円周率を必要とすることは,皆無に等しい。その意
味では,3.14でも3.16でも影響はないだろう。
 ここで,問題になるのは,権威の力と感情によって,自然関数がねじ曲げられ
たことが重大なことなのである。
 さて,現代に返って,3.14と3。これも,江戸時代と同じと言っていいだ
ろうか?

 ひとつには,3.14では,小数が難しいから辞めよう,計算が楽になるよう
に辞めよう。
 もう一つは,3.14と3.16の差と同様,3であっても日常生活に大きな
問題ではない,むしろ,概数の法則(大数の法則:おおよその数の概念)を取り
扱うと考えると,よりレベルの高いことを判りやすく教える手だてともいえる。

 どちらが正しいかは,教科書会社の姿勢にかかってくるだろうが,数年の実験
結果を待つしかないと思う。
 どうやって求めるか,その手順・方法・考え方を感動的に教えられたら問題は
全くないのである。

 計算力が落ちるなんて,大人になれば嫌でも,電卓・パソコンを使うことを強
いられるのだ。便利な道具として,電卓・パソコンに馴染むことができる子供達
はなんと幸せなことだろう。

 ただし,便利でないパソコン(某ゆがんだ窓系OS搭載パソコン)を道具とし
て使ってはいけない。それは,機械を道具として使うことではなく,機械に使わ
れることを意味するからである。