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トランスな世界

No.196

 ●投稿者:マグリット(♂)
 ●投稿日:03月28日(金)07時19分11秒

◆月のステンドグラス

 パンフルートという楽器をご存知ですか?

 長さの違う,一端が閉じられた管がずらっと並んだ管楽器です。
マリンバ(木琴)やビヴラフォン(鉄琴)の叩く部分
の下に垂直に並んだ管を想像して貰えれば分かりよいかと
思います(あんなに太くはありませんが)。

 演奏方法は,ビール瓶の口を横から吹くと「ボーッ」という
音をさせた経験をお持ちの方も多いかもしれませんが,まさに
それです。

 で,長さの違う管で,音階を作った楽器なのです。
ポリネシアミクロネシアの土着民族には,今でも儀式用に
演奏しているところもあるようですが,ほぼ世界中(日本を
除いて)で使われていたようです。

 南米のアンデス地方では,5〜7本の管を束にして,何人か
が,音の組合せの違う束を持って,合奏したりしているので,
「コンドルは飛んでいく」から,アンデス民謡の世界を覗く
と出会えると思います。(南米では,呼び名がそれぞれ違い
ロンダドール:エクアドルボリビアサンポーニャ
ペルー:アンタラ等。ちょっと国名との対比は記憶が怪しい
ので,眉に唾つけて読んでください)。

 一般には,音の低い方が左(長い管)端にあり,その右隣に
は,少し短い(音の高い)管が並んでピアノの鍵盤のように
並んでいるのが一般的です。

 ところが,ヨーロッパでは,ギリシャ神話の牧神(半人半獣)
が使うパンフルート(パンパイプ)は管の順番が逆です。
つまり,一番高い音(短い管)が左にあります。

 ところで,この楽器の一般的な名称,パンパイプ・パンフルート
の「パン」は牧神の使っていた楽器を指すようです。
牧神のことを「パン」というようです。
 
 さて,現在,ヨーロッパでパンフルート音楽が発達した国は
一カ国だけと言っていいでしょう。どこだと思いますか?

 それは,ルーマニアです。

 ルーマニアでは,この楽器を「ナイ」と呼び,パン神の使った
パンフルートと同じように,左が高音で,全体にアーチ状に並
んでいますが,顔(唇)の移動は楽です。

 ナイによる曲は,とても暗く,悲しい響きが多いのが特徴かも
しれません。ルーマニアは,東欧というか,欧州でも珍しい,
ラテン系民族の国ですが,「ドイナ」と呼ばれる曲形態は,
歴史的な哀しみを感じさせます。

 長々と,パンフルートについて,話してきましたが,
有名な演奏家は,(ゲオルゲ)ザンフィルです。
彼が,「ナイ」による映画音楽やポピュラーな曲を世界に広めました。
彼のコンサート(行ったことはありませんが,テレビで放映していた
のを見たとこところ)では,ルーマニア独特の民謡(ドイナ)とポピュ
ラーな映画音楽などと両方聞けるようです。
彼のCDは,ワールドミュージックのコーナーにまずあるでしょう。

 今,欧州で注目されている,パンフルーティストは ダーナ・ドゥラ
ゴミールという美麗な女性です。
 ルーマニア出身ですが,アメリカに亡命し,その後,スゥエーデンを
拠点にし「クィーン・オブ・パンフルート」と呼ばれて活躍しています。
 彼女のCDも数点日本で入手可能でしょう。私は「パン・イズ・アラ
イヴ」というアルバムが気に入っています。ドイナ系の曲もありますが,
「チキチータ」のような明るい曲も含まれているので聴きやすいかと思
います。(VICP61357)

 題目の「月のステンドグラス」ですが,私が学生の頃,NHKーFMで,
エアチェックした曲です。
 林光が編曲したような記憶があるのですが,ルーマニア民謡で,たぶん
誰が聴いても,一度で心に残る曲だと思います。
 カザルスが世界に紹介したカタールニア民謡の「鳥の歌」級の曲のよう
に思います(いれこみすぎかな?)。
 もし,ご存知の方いらっしゃいましたら,教えていただけると感謝に堪え
ません。

 ということで,知りたい曲を伝えるのに,楽器の説明ばかりになって
しまいました(苦笑)。

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