magurit’s blog

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トランスな世界

No.17

●投稿者:マグリット(♂)
●投稿日:05月01日(水)01時40分12秒

◆ぶらり信兵衛

 原作は山本周五郎「人情長屋(裏話?)」のこのドラマ,時代劇にしては,
少々毛色が変わっていた。その為か,2クールのロングランとなった。

主人公の素浪人,松波信兵衛(高橋英樹)は,長屋暮らし。長屋の住人の
前では,刀は「竹みつ」で武術は一切ダメな弱虫を演じている。しかし,貧
乏な長屋の住人がお金に困れば,「道場破り」で稼いできて,住人の窮地を
救うのである。

 道場破り」で稼ぐ手段が,当世的で面白い。まず,道場の弟子を,バッタ
バッタとなぎ倒し,いよいよ道場主との勝負。道場主は恐れてなかなか木刀
を合わそうとしない。無理矢理,信兵衛が木刀をあわせると,小声でお金の
交渉。

 信「10両でいかがか」
主「いや,5両で・・・・。」
信「中をとって7両で。」
主「仕方ない」

 商談成立すると,突然,信兵衛は,後ろにひっくりかえり,「まいった!」
とひれ伏す。

 主「いやいや,松波どの,あちらで一献」

 と別室でお金とお酒をいただき,長屋に帰るというパターンのくり返しで
ある。悪代官も悪党も名奉行もでてこないが,ほのぼのとした,人情話であ
った。

 最近,時代劇も減ってしまったが,残っている作品も勧善懲悪もので,一
ひねりがない。
 ジョージ秋山原作の「はぐれ雲」や,平賀源内の活躍を描いた,NHKの
金曜ドラマ天下御免」等の暖かい作品はもう目にすることはできないのだ
ろうか?
 藤沢周平の「青江又八郎」シリーズは,推理小説のようで変わっていたが,
同じ作者でも「三屋清左衛門・・残日録」は,哀愁を帯びた隠居の話で,こ
れもまた別の意味で名作だと思うが,ご存知の方,いかがだろうか?

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