magurit’s blog

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ぷるるん♪

 台風一過には,
 ほど遠い蒸し暑い朝。

 突然泣き出した蝉を探して
 街路樹を見ていた。

「おっ,木耳?」

 *1
 キクラゲの生えた木を2本,見つけた。
 
 ゼラチンのようなプルルンとした感触を覚えている。

 専任になりたての私に,

「おい,校内には,食べられるモノが結構生えてるんやぞ。

そんなんをな,調べといて,生徒を連れて歩いたらええんや。

ただな・・・”授業中にウルサイ”と言われんようにせえよ。」

 と園芸部だった教頭さんが声をかけてくれた。

 生のノビルや花壇のアスパラを囓って歩いた。
 水くさい枇杷,酸っぱいスモモ,渋い柿,臭い銀杏。
 緑に囲まれた校舎で思い出すのは,太い楠よりも,食べた植物のこと。

 キクラゲを見つけた時,教頭さんを呼びに行った。

「おい,落ちるなよ。落ちてもオレは,知らんぞ。」

「それ,食ったらええんや。さっさと採らないと無くなるぞ。」

 採らずに,そっとしておいた。
 しっとりと湿って,耳たぶよりも柔らかいそれは,いまにも融けて消えそうだったから。
 

*1:左下の川は,いつでも鯉の群れが見られる