7月になったばかりの頃,
案内状が届きました。
差出人は,前々職で,
随分とお世話になった
私学理科研修福祉会の
方です。
教科担当者宛の案内状に,細かい字で
「”すばる望遠鏡”についての公開講座をするから来ませんか?
あなたの家から遠くない高校が会場だから。誰でも入れますから」とあります。
ちょっと心が・・・。教育関係者とは,前々職を辞してから会っていないのです。
就活仲間の活動を見ていて,「戻らないにしても,免許を持っている以上,
登録をしないのは,就職に積極的でないと思われるな」とさもしいことを考え,
妥協して1か月経った時でした。ちょうど,応募しようと準備している会社は,
プラネタリウムのメンテナンス業*1。偶然を楽しむように,手帳に予定を記入しました。
15時開始の1分前に,会場に入り,後ろの席にそそっとお尻を落ち着けました。
見なれた後頭部に,数年前の記憶が蘇ります。
みなさん,お元気そうで何よりです。
あっ,振り向かないでね・・・。そうそう,そのままそのまま。
講演者は,高校で化学を4ε年教えている大ベテランです。
初めて会ったのは,私が24才の夏のこと。
背が高く,やさしい笑顔がとても印象に残っています。
ポインターを片手に,嬉々として,
ハワイについて,天文台の中身について話しが進んでいます。
反応について,説明するときは,眉を寄せて,
なるべく目を合わせないようにして,質問に答えられます。
そして,軽はずみに答えません。
「・・・ええっと,うん,調べて連絡しますわ・・・(フフフフ)」がお約束です。
そう,化学の先生なんですよね。なんで,天文台なんだろう。
「8mの反射鏡ですからねぇ。44枚のですねぇ,6角形の鏡を作りまして,
それを溶融して接合してあるんです。これを運搬するのが,大変でして,
これが,ハイウェーをトラックが・・・」
研修会の帰り道,
「奈良の大塔村に天文台が出来てね,
化学部の合宿で見てきたけど,なかなか綺麗に星が見えてね。
あそこはいいよ」と話していたのは,もう2ε年前。
化学の内容には,実にマジメに厳しいのに,
細くなった目と下がった目尻が,
その体験が如何に素敵だったかを物語っていたのです。
だが,その話は,意外過ぎて,
「天体望遠鏡?カメラ?新しい趣味かな?」
それから後,頂く賀状・見舞いには,必ず天体写真が添えられていた。
すごいなぁ。ここまで,熱中するなんて・・・。
その謎も今日の講演で解けました。
「・・・実は,小学校に上がる頃から,天文に興味がありまして,
ずっとその思いはありました。40代になって,余裕もできて,
天体望遠鏡や天体写真を撮るようになりました。
地学の専門家ではありません。」
思いは遙かなりか・・・。
*1:紹介状を貰った時点で,1名枠に2ε名の同年代が応募していると担当者が話してくれた。締め切りまで8日もあった。もっと増えたことだろう。結果は,書類が返送されてきましたorz