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2003年9月に発行された本。
ずっと寝かせてあった。前職で機会があれば担当の本棚に置こうと
思っていたのだが,その時は訪れず・・・。
ノーベル賞を受賞した頃の,「マジメな人をおもちゃにする」マスコミの扱いが
嫌で,あえて読みたいとも思わなかった。まえがきにも,受賞時のマスコミの
報道による善意の誤解を迷惑に思い困惑したこともふれてある。
で,「なんで今頃読む気になったのか」というと,会社に”計量月間”のポスターが
貼られており,それが田中さんの写真だった。2月からずっと見ていて刷り込まれたの
かもしれない(笑)。
6月から9月にかけて,検査項目が増えるので2月から使っている機器に加えて,
さらに1つ覚える必要が生じている。メーカーは某S社。S社の機器が多いのだが,
ベテランの先輩にはすこぶる評価が悪い(苦笑)。
ふと気になって,押入に積まれていたのを引っ張り出し,昼休み等に読み始めた。
第一部「エンジニアとして生きる」
意外だったのは,化学を専攻していたのではなく,電気工学。
ノーベル賞が決まった時の会社でのエピソードでは,
タナカコウイチ氏が3人も会社におり,写真が公開されていなかったから,
廊下で報道陣とすれ違ったが気にも留められなかったとか。
さらに,作業服で記者会見に臨んだのも,出勤時の服装もカジュアルな格好だったと
知り,私も軽装で出かけるのが気にならなくなった(笑)。
受賞のキザしと思われる出来事や同じ研究に関与し導いてくれた外国の教授連への
感謝などが語られていく。
「ホウ酸の雪」の項では,小学校の時の実験観察の話では,10才ぐらいから,
唯我独尊の性分だったことが伺われて興味深い。電気工学を志すに至った家庭環境,
大学から島津製作所を選んだ理由も,率直に語られている。大学や研究所に所属する
研究者でなくエンジニアであることが謙虚にさせているのかもしれないが,
ゼロから一と,一から一○○○。どちらが重要か。
もちろん,両方とも重要。どちらが欠けてもいけない。
ただ,ノーベル賞はゼロから一を生み出す発見を対象にしている。
エンジニア田中耕一がよく出ていてオモシロイ。
たぶん,この本では第1章が一番オモシロイでしょう。
第二部「生体巨大分子を量る」
講演記録です。どういった人が対象なのか?
一般向けでは無いですね。図やグラフを入れているが・・・。
以前なら,さっさと読むのを止めていたでしょう。
が,ノーベル賞を受賞するに至った機器に類する装置を使うようなので,
何度か中断しながらも読み終えた。
第三部「挑戦と失敗と発見と」
講演の後の対談記録。まぁオマケですね。